第32話  迷惑な釣り人    平成15年09月07日 


いい気分で折角、撒餌をしてやっと釣れはじめると何処からともなく周りを釣り人に取り囲まれた事が幾度となくある。何十年も釣をやっているととんでもない奴も現れる。イサダ釣をやっていた時、「どうせ餌はただの餌だから・・」と云って私のイサダを声もかけずに使って平気な奴が居た。その時は流石に驚いた。

こんな事が昔もあったらしい。鶴岡の土屋鴎外も「庄内釣り 時の運」の中で述べている。「折角餌を撒いて雑魚を集めると、四方八方の岩からづく無し釣師どもが臭気をかぎつけた蝿のように、もやもやと寄ってきて、甚だしい奴は人の頭を台かけにして竿を投げ、外したり、切らしたりあらゆる妨害をする・・・あきれた物じゃないか」と。正に其のとおりで、黙っていると自分の糸を垂らす場所がなかった事も何回かあった。

実に迷惑な人が多いものである。今日も防波堤での事近くで釣っている釣り人の子供が水汲みバケツを海に落としては汲み上げて又落とすという事の繰り返し。親が直ぐ脇で釣っているのに・・・である。余りにも酷かったので声をかけた。それでやっと親が子供に注意して止めた。いたずらをしても何も感じないそんな親が増えている。それでやっても何も感じない子供達が増えてきているのではないか?等と思えてくる。常識が常識でない事をやっている事が常識なのか?

親が子供の内に叱ってマナーを教えないから、非常識と思える事が常識の内に入っている。例えば親が、釣り場にゴミを捨てるのを見ていれば子供も其れが常識の範疇に入ってしまう。また、親が割り込んで釣をすれば、其れも常識となる。釣座に入る時は、近くに釣り人が居れば必ず、必ず一声かけてから入るのが釣師のマナーである。格好だけが一人前の釣師ではいけない。身も心も一人前の釣師とならねばならない。